2010年05月14日

原口ビジョンII

総務省は、新たな成長戦略である「原口ビジョンII」を発表した。今回の「原口ビジョンII」は、昨年12月の「原口ビジョン」をリバイスし、わが国の成長に向けた、より具体的な施策を盛り込んでいるものだ。特に、今回のビジョンは、可能な限り具体的な時期と達成すべき目標を数値化している。

今回のビジョンでは、(1)経済・社会のあらゆる分野におけるICTの徹底利活用の促進、(2)地域の自給力と創富力を高める地域主権型社会の構築、(3)埋もれている資産の有効活用、等につながる政策を総動員することにより、持続的な経済成長を実現しようとするもの。今後は、「原口ビジョンII」を実現するための施策を、省をあげて推進していく。

「ICT維新ビジョン2.0」として、「知識情報社会を支える基盤の構築」、「日本の総合力の発揮」、「地球的課題の解決に向けた国際貢献」の達成目標を掲げている原口ビジョンIIの推進のためのロードマップは以下のとおりとなる。

ロードマップ1
■「光の道」100%の実現
2015年頃を目途に、すべての世帯(4900万世帯)でブロードバンドサービスの利用を実現。「光の道」の整備(アクセス網整備の方法)、国民の「光の道」へのアクセス権の保障(ユニバーサルサービスの見直し)、ICT利活用促進による「豊かな社会」の実現(ICT利活用促進)について5月中旬までを目途に基本的方向性を明確化し"「光の道」関連3法案"を早急に検討。
2010年度より、「光の道」整備促進に向け、地方公共団体における汎用SaaSである「ブロードバンド・オープンモデル」等の利活用を含む政策支援を展開。
■ICTによる協働型教育改革の実現
2020年までに、フューチャースクールの全国展開を完了。2010年度より、「フューチャースクール推進事業」を着実に推進。タブレットPC、デジタル教材(電子教科書)等を活用し、児童・生徒が互いに学び合い、教え合う「協働教育」についてガイドライン化し、これに基づき全国展開を計画的に推進。2010年度より「教育クラウド」の構築を進め、2012年度には教育現場に加えて校務への活用を開始し、2015年度までには学校運営の状況についての評価を可能とする体制を整備。

ロードマップ2
■健康医療介護分野等におけるICT利活用の推進
2020年までに、自己の健康医療情報を管理・活用できるとともに、全国どこでも遠隔医療や救急時に医療機関間等で情報共用できる「健康医療クラウド」を整備。2010年度より、医療分野においてICTの利用(または想定していない)規制・制度の見直しに着手するとともに、診療報酬等により自律的な利用が可能となる財政基盤を確立することにより、医師不足による地域の不安と負担の早期緩和を実現。2015年までに、個人が自らの健康医療情報を電子的に管理・活用できるよう、EHRを全国民を対象に実現。健康医療分野におけるICTの活用をとりわけ生活習慣病の予防、悪化防止に重点を置き、1兆円以上の医療費削減を達成。高度な遠隔医療を実現するための3D映像・伝送技術、超臨場感コミュニケーション技術等の研究開発を推進し、2015年以降医療分野等で利用可能な3D映像システムを段階的に実用化。対話が困難な利用者でも活用可能な脳情報(BMI)によるロボットと人とのコミュニケーションを強化する技術等の開発を推進し、2015年以降、見守り、生活・介護支援、ヘルスケア等に利用可能なネットワークロボットサービスを段階的に実用化。高齢者やチャレンジドを含め、誰もがICTを利用できる情報バリアフリー環境を整備するため、公的機関Webサイトのアクセシビリティのさらなる向上や公共調達におけるアクセシビリティ確保に向けた取組状況を把握・評価することにより、要件化を推進。
■電子行政の強力な推進による無駄削減・オープンガバメントの推進
2013年に、国民本位の電子行政を実現。「番号に関する原口五原則」に基づく税・社会保障の共通番号の検討と整合性を図りつつ、民間IDと連携した国民ID制度を2013年までに導入するとともに、これらの取組と合わせ、行政サービスの質の抜本的向上(国民本位の電子申請の導入)が可能となる電子行政を2013年に実現。2014年を目途に、電子政府・電子自治体へのクラウドサービスの導入を実現し、電子政府については、政府情報システムの刷新を推進することで、運用に係るコストを2020年までに5割程度削減。電子政府については、行政が保有する情報を原則公開し、すべての国民が利用可能にするとともに、国民が行政を監視し、自己に関する情報をコントロールできる公平で利便性の高いオープンガバメントを構築。これらの取り組みを強力に推進するため、必要な法制度の整備を推進。

ロードマップ3
■新たな電波の有効利用の促進
ホワイトスペース等新たな電波の有効利用により、2020年時点で新たに50兆円規模の電波関連市場を創出。2015年までに、ホワイトスペース等を活用した市民メディアを全国展開。2020年時点で、コードのいらないワイヤレスブロードバンド家電の世帯普及率80%を実現。
■「スマートクラウド戦略」の推進による新サービスの創出
2015年時点で新たに約2兆円のクラウドサービス市場を創出。クラウド内に蓄積された知識・情報を連携させる「スマート・クラウド基盤」の標準仕様化およびその活用により、スマートグリッド、ITS、橋梁・トンネル等の施設管理等の社会インフラの高度化を実現する新規サービスを創出。医療クラウド、教育クラウド等に利用可能な、膨大なストリーミングデータを高速処理する技術、クラウドの安全・信頼性向上のための技術開発等を加速化し、2013年以降ネットワークサービスとして展開。農業クラウドやNPOクラウドの構築支援等、地域におけるクラウドサービスの活用を促進。2011年度から、企業等のクラウドサービス導入支援を推進するとともに、中小企業・ベンチャー企業等によるクラウドサービス開発支援や、「クラウド特区(仮称)」の展開を含むデータセンタの国内立地を促進する環境整備により、クラウドサービスの開発・普及を推進。2010年度中を目途に「クラウドサービスに関するモデル契約約款」や「消費者向けクラウドサービス利用ガイドライン」の策定を推進するなど、クラウドサービスに関する消費者(利用者)権利の保障を推進。2010年度以降、クラウドサービスに関する標準化や個人情報保護等に関する国際的コンセンサスを醸成する観点から、APEC、OECD、ITU等のマルチの場における政策対話やアジア・太平洋諸国をはじめとするバイの政策対話を推進。
■「オープン型電子書籍ビジネス環境」の創出
2020年時点で5000億円のデジタル出版市場を創出。電子出版に関する技術的課題(フォーマット等)の解消に向けた検討に早急に着手。国立国会図書館、国立公文書館、国立博物館機構や全国の公共図書館、大学等に分散保存されている書籍・文書資産の総デジタル化を推進し、2020年までに世界一のデジタル資源活用社会を構築。

ロードマップ4
■デジタルコンテンツ創富力の強化
2020年までに、デジタルコンテンツのグローバル展開やネットワーク流通促進により、10兆円の経済波及効果を実現するとともに、2012年までに適正な流通を確保するための体制を整備。「コンテンツ海外展開促進コンソーシアム(仮称)」に対する支援等、日本のデジタルコンテンツ(Jコンテンツ)の海外展開のための環境整備をはじめ、製作力・配信力の強化、「デジタルコンテンツ創造特区(仮称)」の創設等、新事業創出環境の整備等に2010年度から着手し、Jコンテンツの発信力を強化。海外の放送時間枠確保による地域コンテンツの海外展開を図る取組を2010年度から実施する等により、情報発信力の強化を通じて日本のプレゼンスを向上させるとともに、国際競争力の強化を実現。2013年度を目途に、各地域におけるデジタルコンテンツの製作・流通基盤を整備完了するとともに、「地域コンテンツクラウド(仮称)」の整備や「地域コンテンツプロデューサー(仮称)」の育成を含む「地域コンテンツ力創造事業(仮称)」の推進により、デジタルコンテンツの活用と全国規模の相互交流を通じた経済交流活性化を実現。デジタルコンテンツの製作・流通から適正な利潤が得られる流通環境整備のため、コンテンツの不正流通を抑止する「共同検知センター」の設置等のインターネット上のコンテンツ保護の取組を推進し、動画投稿サイト上等の無許諾の放送コンテンツの撲滅を目指し、2012年までに体制を整備するとともに、映像コンテンツ権利処理機構(ARMA)の取組への支援等、2次流通に係る権利処理の円滑化を推進。
■ICT人材戦略の推進
2020年までに、355万人の高度ICT人材を育成。2011年度までに、産学官連携により、高等教育機関等におけるクラウドコンピューティング技術を活用した高度ICT人材育成環境を整備するための標準仕様等を策定し導入を推進。不足が指摘される35万人の高度ICT人材の2/3を占める利用側(ビジネス系)の人材育成を促進。すべての国民のICTリテラシーの底上げを図るため、2011年度中に、子どもから高齢者まで、それぞれの年齢層に対応したICTリテラシー育成のための実践的な枠組みを確立。全世界から優秀なICT人材を集めるため、海外ICT人材の日本における円滑な在留・就労実現のための環境の整備、海外からの研究者の招へい拡大、留学生等の人材交流の活性化を実現する「ICTグリーンカード」事業を推進。

ロードマップ5
■地域におけるICT利活用の促進
2013年までに、「地域のICT利活用率」を倍増。遠隔医療、児童・高齢者見守り、防災情報提供、生涯学習支援、観光情報発信、交通・移動支援、地場産業振興、地域間交流等へのICTの利活用状況を指標化した「地域のICT利活用率」を設定し、2013年までにその倍増を実現。NPO等を始めとする地域ICT人材の育成・活用により、複数地域の広域連携をはじめとしたスケールメリットを活かした効率的・効果的なICTの導入を促進。ICT利活用規制の特例措置と予算措置の相乗効果による、ICTを活用した地域社会改革モデルの構築実証を推進。地方公共団体や放送事業者・通信事業者などと連携し、ICTを活用して、災害時の避難勧告・指示など、地域の安心・安全に関するきめ細やかな情報を、様々なメディア(テレビ、パソコン、携帯電話等)を通じて、地域住民に迅速かつ効率的に提供する仕組みを構築し、各地域への導入を推進。柔軟な勤務形態を可能とし、育児・介護期の就業の確保や高齢者・チャレンジド等多様な人材の就業機会の創出等を実現するテレワークの企業等への導入を支援。
■革新的なICT基盤技術の研究開発の推進
2020年までに、現在の情報通信ネットワークの限界を克服する新世代のICTインフラ構築のための革新的技術を確立。脳のメカニズムを解明し、真に伝えたいことを制約なしに伝える等、現行とはまったく異なる情報通信を実現するための技術を2020年頃に確立。ポストIP時代を視野に、超高速・省エネルギー・高信頼性等を実現する革新的なネットワーク基盤技術を2020年頃までに確立。課題公募型競争的資金について、若手研究者を中心とした独創性の高い研究領域への重点化を図り、「夢」のある研究開発プロジェクト(「U−35夢実現プロジェクト(仮称)」)を実施。総務省や(独)情報通信研究機構の実施する研究開発成果に関する知的財産権の有効活用や実用化に向けた取組を促進。

ロードマップ6
■日本発ICT(J−ICT)の国際展開の推進
2015年までに、日本の先進的なICTを30億人規模の海外市場(インド、中国、東南アジア、南米、アフリカ等)に展開。2011年度より、社会インフラにICTを組み込んだ「次世代インフラシステム」に関する総合的なプロジェクトの組成と国際展開体制(コンソーシアム)を組織化(PPP〔Public-Private Partnership〕を活用した国際展開を実現)。地上デジタル放送、ワイヤレス等の日本が強みを発揮しうる分野において、トータル・パッケージとして国際展開を加速。安心・安全や環境負荷低減に資するICTシステム(防災システム、衛星等)について、アジア地域において2014年までに導入を実現し、2020年までに展開。次世代クラウド技術等についてアジア地域、との共同研究を推進するための基盤(「アジア連携ネットワーク基盤」)の整備を加速化し、研究開発成果の国際展開を推進。デジタルネイティブ世代を対象としたプロジェクト制度の創設等、デジタルネイティブ世代のパワーを活用した新事業の創出と国際展開を推進。ホームネットワーク、3Dテレビ、クラウドサービス、次世代ブラウザ、デジタルサイネージの5分野を重点分野とさまざまな標準化団体やフォーラムにおける標準化活動について総合的な支援を実施。
■「ICTグリーンプロジェクト」の推進
2020年までに、ICTパワーよりCO2排出量10%以上削減を実現。「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」において、「ICT産業のグリーン化」(Green of ICT)と「ICTによるグリーン化」(Green by ICT)の双方を柱とする「ICTグリーンプロジェクト」の積極的展開のための実現シナリオを策定。ICTシステムの消費電力を抑制するための技術の研究開発を推進し2015年頃から順次ネットワーク機器に導入。2011年度より、CO2排出量を10%以上削減するスマートグリッドに関連する通信ネットワークシステムや通信プロトコルの技術仕様等を策定。ICTにより「緑の分権改革」を実現する観点から、2011年度より、ICTを活用した再生可能エネルギーの「地産地消・地域実証」プロジェクトをパッケージ化し、広域展開を推進。
posted by chidejist at 09:34| 総務省報道